音楽理論のスケールの意味/知ることによるメリット

音楽理論において最も基礎となる考え方「スケール」、聞いたことはあるけど、詳しくは分からないという方も多いと思います。

「スケール」について詳しく知っておくと、メロディ作りがしやすくなるなど、メリットがあります。

スケールについてよく理解することで、上手に作曲をしていくことができるようになります。

この記事では、スケールの意味や知ることによるメリットについて詳しく解説します。

前提知識

スケールについて説明する前に、知っておくべき知識や用語があります。まず、それらを説明します。

音楽で使われる12個の音

スケールをよく理解するためには、「音楽で使われる音は12個しかない」ということを知っておくと分かりやすいです。

以下はピアノの鍵盤のイラストです。

ピアノは、左に進むほどズンズンとした低い音が鳴り、右に進むほどキンキンとした高い音がなります。

上図のように、ピアノには白い鍵盤(=白鍵盤)と黒い鍵盤(=黒鍵盤)があります。

そして、白鍵盤7個、黒鍵盤5個で合計12個のセットが左右に繰り返されています。

ある鍵盤から左右12個となりの音は、同じような音として聴こえるため、同じ音として扱われます。

このように、音楽で使われる音は12個しかありません。

なんで12個なのかというと、おそらく歴史的・経験的に「これくらいの多さが丁度いい」ということになったのだと考えられます。

色鉛筆とかでも、12色鉛筆だったら色を選びやすいですよね。

128色鉛筆とかだったら、かなり上級者向けな感じがします。

あまりに鍵盤が多くなりすぎると、音の違いが聴き取りにくくなり、メロディがはっきりしなくなってしまいます。

各鍵盤には名前があり、白鍵盤は左から順番にド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シとなっています(下図)。

これらを「音名」と呼びます。

そして、黒鍵盤は左から順番に、ド#・レ#・ファ#・ソ#・ラ#と呼びます(下図)。

#は「シャープ」と読み、元の音を半音上げるという意味です。半音とは、隣の鍵盤との音の差のことを言います。

例えば、「ド#」は「ド」を半音上げた音となります(下図)。

※「ド#」は、「レ」を半音下げた音として、「レ♭」と書くこともできます。♭は「フラット」と読みます。

ある音名の鍵盤から白鍵盤・黒鍵盤含めて12個右となり(または左となり)の鍵盤に移動すると、同じ音名になります。

例)「ド」の12個右となり(または左となり)の鍵盤の音名は「ド」

音楽の授業で習うので、「ドレミファソラシ」は日本では一般的な呼び方ですが、実はこれはイタリア語の呼び方となっています。

音楽理論では、それに対し、C・D・E・F・G・A・Bという英語の呼び方が基本的に使われます。

オクターブ

ある鍵盤から、12個となりの鍵盤の音との差は、オクターブと呼ばれます(上図)。

人間が音を聴いたときの感覚の特徴として、オクターブ違いの音は、高さは違っても同じような音として聴こえます。

鍵盤12個1セット隣りで1オクターブとなり、24個隣の音は2オクターブ、36個隣の音は3オクターブ…とも表現されます(下図)。

半音と全音

すぐ隣の音との高さの差は半音と呼びます(上図)。

鍵盤1つ隣りで半音1の差となり、例えば鍵盤3つ隣りであれば半音3の差となります。

また、半音2つ分の差のことを全音と呼びます(下図)。

鍵盤2つ隣りで全音1の差となり、例えば鍵盤4つ隣りであれば全音2の差となります。

この、半音と全音は、スケールを理解する上でとても重要になってきます。

スケールとは?

以上の前提知識を踏まえた上で、スケールとは、1オクターブ内の12個の音の中から、音楽を作るためにいくつかの音を選んで、音の高さ順に並べたものを言います(上図)。

例えば、有名な「ドレミファソラシ」も、数多くのスケールの中の1つです。

この「ドレミファソラシ」は7つの音を使っているため「7音階」といい、その中でもメジャースケールと呼ばれています。

メジャースケールは、ポピュラーソングなど、現在の様々な音楽で最も広く使われています。

メジャースケールを構成する7つの音を使うと、美しいメロディや和音が作りやすくなります。

これは、メジャースケールの中の音同士の相性がよく、続けて鳴らすと自然なメロディになりやすかったり、一緒に鳴らすと綺麗に響きやすかったりするからです。

よく、人間同士でも「相性がいい人」「波長が合う人」って居て、そういう人とはすぐに打ち解けてしまうということがあると思います。

音の世界でも同じように、それぞれの音に実際に「波長」というものがあり、「ドレミファソラシ」は波長が合う音たちなので、仲良しな音たちって感じです。

逆に、「ドレミファソラシ」の音の中に「波長が合わない」音が入ってしまうと、変なメロディになったり濁った和音が作られてしまいます。

スケールには、様々な種類があります。それぞれに特徴があり、作る曲に合わせてスケールを選ぶと曲の雰囲気を変えることができます。

メジャースケールは、明るい雰囲気で、最も標準的なスケールと言えます。

メジャースケールの特徴

メジャースケールには、ある特徴があります。

それは、基準となる音(「ド」など)から始まって、全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音という間隔で音が高くなっていき、再び元の音に戻ることです(下図)。

略して、「全全半全全全半」で音が高くなります。

実は、この「全全半全全全半」という決まりで音が高くなっていくのであれば、最初の音は何の音でもいいです。

例えば、レで始まるメジャースケールもあります(下図)。

黒鍵盤も入ってくるのでちょっと分かりにくいですが、これも「全全半全全全半」の法則で音が高くなっています。

レが基準のメジャースケールは、ドが基準のメジャースケールのすべての音を全音高くした形になっています。

基準の音がどの音になっていても、「全全半全全全半」で音が高くなっていくと、「ドレミファソラシド」のような響きで聴こえます。

どの音で始まっても大方同じ聴こえ方ですが、起点の音によって雰囲気はそれぞれ変わってきます。

キーについて

メジャースケールの最初の音のことを、「キー」と言います。

例えば、「ドレミファソラシ」は、キーが「ド」のメジャースケールとなります。

ドは英語表記だとCなので、Cメジャースケールとも呼ばれます。

カラオケでキーを変える機能がありますが、それがこれです。

キーを変更することで、曲全体の音の高さが変わります。これによって、歌いやすいキーにすることができます。

スケールを知っておくメリット

きれいなメロディが作りやすくなる

もし、12個の音すべてから闇雲に音を選んでしまうと、無茶苦茶なメロディになってしまいがちです。

しかし、メジャースケールなど、決まったスケールの音を選んでメロディを作ると、きれいなメロディが作りやすくなります。

これは、例えばCメジャースケールであれば、C(ド)に相性が良く響きの合う音が選ばれているからです。

美しい和音が作りやすくなる

音楽では、複数の音を同時に鳴らして使う場合があり、これを和音と呼びます。

和音の中で、3和音以上のものはコードと呼ばれます。

メジャースケールであれば、例えばドの音に対して、ミやソのように、鍵盤1つ飛ばしで音を重ねていくと綺麗な和音として聴こえることが知られています。

もし、スケールを知らなければ、闇雲に12個の音の中から和音を探すことになってしまいます。

12個の音の中で、同時に鳴らすと綺麗に響く音があれば、濁って汚く聞こえてしまう音もあります。

このため、スケールを知っておくことで、美しく響く和音が作りやすくなります。

まとめ

ここまで説明してきたように、スケールを知っておくことで、きれいなメロディや和音を作りやすくなります。

是非、あなたの作曲に取り入れてみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

関連ページ