DTMで作曲をする場合、耳コピをすると曲のメロディやリズム、構成などが分かって作曲に役立ちます。
「耳コピ」とは「耳コピー」の略で、音楽を聴いて自分の耳を頼りに、同じ曲をパソコンで再現することです。これによって、作曲力やアレンジ力が高まり、大いに成長することができます。
しかしこの耳コピ、最初の内はどんな風にやっていけばいいのか、なかなか分からないと思います。
そこで今回は、耳コピ初心者の方向けにDTMでやりやすい方法や、耳コピを行う上での注意点について詳しく解説します。
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もくじ
DTMで耳コピするやり方
耳コピは、基本的に「音楽を耳で聴こえた通りに、作曲ソフトに打ち込んでいく」という作業の繰り返しです。
このため、耳コピしたい曲を何度も聴くことになります。
耳コピするときは、作曲ソフトにコピーしたい曲を読み込んでおくと、とてもやりやすくなります。
作曲ソフトの機能で、部分的に繰り返し再生をして重点的に聴き取ったり、打ち込んだ曲とコピーする曲を同時に再生して、正しく打ち込めているか簡単に確認できたりするからです。
作曲ソフトで耳コピをする詳しいやり方については、下記の記事で解説していますので、こちらを是非ご覧ください。
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初心者が耳コピするときのポイント
自分のレベルに合った難易度の曲を選ぶ
最初の内は、自分のレベルに合った難易度の曲を選ぶことが非常に大切です。最初から耳コピするのが難しい曲を選んでしまうと、まったく進めることができず、嫌になってしまうからです。
初めて耳コピにチャレンジするときは、これまで僕の経験上以下のような曲を選ぶといいです。
・使われている楽器の数が少ない曲
・音がはっきりした曲を選ぶ
・インスト曲
これらのような曲がなぜ耳コピしやすいかの詳しい説明は、下記の記事で解説していますので、こちらも是非参考にしていただければと思います。
「耳コピ難しい!聞き取れない!簡単な曲/しやすい曲/初心者向けおすすめの練習曲とは?」
メインメロディの聴き取りから始める
耳コピするとき、歌のメロディなど、メインメロディから聴き取りを始めるとやりやすいです。
メインメロディは、聴き手に一番聴かせたいものなので、音量が他の楽器よりも大きめになっていることが多いので聴き取りやすいからです。
また、印象的でカッコいいメロディが使われていることが多いので、耳コピしていても楽しい気持ちになります。
この辺りについては、下記の記事でさらに詳しく解説していますので、こちらも是非ご覧ください。
少しずつ進める
「耳コピは難しい」と言われることがよくあります。
たしかに、1曲全楽器を丸々コピーする「完コピ」をするのは容易なことではありません。
しかし、たとえ完コピをするにしても、耳コピをするときは短いメロディやリズム、瞬間的な音を聴きとって打ち込んでいけば、時間はかかりますがどんな曲でも耳コピすることができます。
これは、例えるなら壮大なドミノ倒しを作るようなものです。
最終的に作り上げるドミノ倒しがどんなに複雑で大きなものであっても、やっていくことは1つ1つのドミノを丁寧に置いていくシンプルな作業です。
これと同じ様に、耳コピもどんなに複雑で難しい曲であっても、1つ1つの楽器の音を1小節毎に丁寧に聴き取って打ち込んでいけばいずれコピーすることができます。小節とは、音楽で繰り返される、基本単位です。
徐々に難易度を上げていく
ある程度メインメロディを聴き取れるようになってきたら、同じ曲でも他の楽器パートの聴き取りを進めていくといいです。
このとき、オススメの順番は、以下の順番です。
2.ドラムなどのリズムパート
3.低音のベースパート
4.和音楽器
5.その他の楽器
ドラムなどのリズムパートは、本来音の高さの変化が無い分、最も聴き取りやすいと言えます。
ただ、音の高さが変わらず、変化が少ないため、聴いていて飽きやすいです。なので、メインメロディをしながら気分転換にリズムパートを進めるといいです。
3つ目の低音のベースパートですが、人間には低い音に対する感度が鈍いという特性があります。
そのため、メインメロディの聴き取りに慣れてきたら、低音パートを進めるといいです。
4つ目の和音楽器ですが、これはピアノやギターと言ったものです。和音は「ド・ミ・ソ」など複数の高さの音が同時に鳴るものです。一度に複数の音が鳴るため、かなり聴き取りづらいため、メインメロディや低音パートに聴きなれてきたら進めるといいです。ただ、このときも、和音とは言え複数の単音が重なっているだけなので、落ち着いて何度も聴けばやがて1つ1つの音が聴き取れるようになっていきます。
最後のその他の楽器ですが、これらはより曲を盛り上げるために追加されている様々な音です。
メインメロディやリズムパート、ベースパートと言った、主な楽器ではないため、比較的音量が小さくなっています。
このため、小さい音量の音の聴き取りは難しいので、かなり耳コピに慣れてきたときにやっていくといいです。
このような流れで1つの曲を耳コピしていき、やがてすべてのパートを聴き取ることができたら完コピ達成です!
徐々に、楽器数が多い曲や、テンポの速い曲など、難易度の高い曲にチャレンジしきましょう。
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耳コピをするときの注意点
自分一人でやっていると、正しいピッチが分からなくなる
耳コピは自分の耳を頼りに、パソコンで打ち込みをしていきます。しかし、正しい音感が磨かれていない場合、耳コピして作った曲のメロディが実際のピッチ(音の高さ)とずれてしまうことがあります。そして、もし自分ひとりだけでずっと耳コピをしていて、誰かにつくったものを聞いてもらう機会が無い場合、そのピッチのずれに気付けない場合があります。なぜなら、自分が作ったものを聴くと、「これはいいメロディだ」と思って、たとえピッチがずれていても頭の中で都合のいい音に置き換えてしまうからです。
誰しも、自分で自分が間違っているとは思いたくないもの。多少の粗があったとしても、無意識に目をつぶってしまうものです。以前、ある方のDTM相談を受けたことがあったのですが、その方がまさにこの落とし穴にハマっていました。
練習のために、有名曲の耳コピをされていたのですが、メインメロディが本物と微妙に違っていたのです。そして、当人に「誰かに耳コピした曲を聴いてもらっていますか?」と聞くと、誰にも聞いてもらわず一人で作業をしているとのことでした。
そのため、自分ひとりだけで耳コピをしていたら、注意が必要です。出来上がった曲を、友人でもいいので聴いてもらうといいでしょう。最初は恥ずかしいと思うかもしれませんが、オリジナル曲を聴いてもらうことに比べれば、ずっと気が楽です。
僕自身、耳コピをしていたときは、出来上がった曲をよく友人に聞いてもらっていました。そのときは、自分が作ったもののピッチが正しいかチェックしてもらおうというつもりはありませんでした。ただ、出来上がったものを聴いてもらいたかっただけでした。
しかし、そのときに、「これはすごい!」とか、「うん、音源をちゃんとしたものにしたらそのまんま原曲と変わらないね」と言われて、とても自信がついたことを覚えています。
それまでは、何度も何度も、繰り返し曲を聴いて、メロディを聞き取るようにしていました。そして、自分なりに「これで完成!」と思えたときに、友人に聞いてもらっていたんです。
このことから、当時は意識していたわけではないですが、友人に聞いてもらったことが、自分で作った曲が正しく原曲を再現しているかの答え合わせになっていたんだなと思いました。
「予測」によって、成長しなくなる
もう1つ、気を付けていないと陥ってしまう落とし穴があります。それは、「予測」に頼って耳コピばかりしていると、作曲力やアレンジ力の成長が止まってしまうということです。
耳コピは人によっては、コード進行と呼ばれるものを予測することで、効率よくできるようになると言う人もいます。「コード」とは、「ド・ミ・ソ」などの様に音を同時鳴らす和音のことで、「コード進行」とはコードが時間と共に変化するものです。
コード進行は、ポピュラーソングでよく使われるものがあるので、「こうきたら、きっとこのコード進行だろう」と予測できれば耳コピの時間は大幅に短縮されます。
耳コピの目的が、楽譜が無い曲の楽譜を作るためであれば、これで問題はありません。しかし、耳コピを行う目的が、作曲やアレンジの幅を広げるためであれば、予測にばかり頼っていると、音楽を聴いたままに再現することができなくなります。
これは、実際に音を聴かないで、自分の知っている知識に当てはめてコピーを進めるていくためです。
こうなると、元の曲のアレンジを正確に吸収することができません。
「予測」にばかり頼るということは、自分の既に知っている知識や経験から、聴き取れない音やコードがどうなっているかの答えを出すということです。このため、効率化のため予測ばかりに頼っていると、今の自分の知識や経験の外に出ることがないのです。これによって、聴き取りのセンスが磨かれず、成長が止まってしまうのです。
これを防ぐためには、自分がよく聴き取れないメロディやリズム、コードなどの聴き取りを予測に頼るのではなく、ありのままの音をそのまま聴き取って再現するようにするしかありません。これには、とても時間がかかりますし、うまく聴き取れないのでフラストレーションが募ります。実際、僕もより自分を成長させるために、耳コピしにくい曲にチャレンジすることがありますが、中々聴き取れずイライラすることもあります。
しかし、苦労の末、何度も何度も聴きとれない音を聴いていると、ある時突然ハッキリとどんな音が鳴っているのか分かるようになります。このとき、自分が聴きとれる音の範囲が一気に広がり、色んな音楽からメロディやコードを聴き取ることができるようになります。これによって、アレンジセンスが格段に高まっていきます。
もちろん、曲によってはどうしても聴き取れない部分があったり、そのときの能力では全く聞き取れない曲もあります。
そのような場合は、無理して耳コピせず、現在の自分に見合ったレベルの曲に変えたり、同じ曲の聴き取れる部分だけに専念することで対応することができます。
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まとめ
ここまで説明してきたように、耳コピを行うときはいくつか落とし穴があります。しかし、今回説明した方法で対処していけば、あなたは落とし穴にはまることなく大きく作曲力やアレンジ力を耳コピによって高めていくことができます。
是非、耳コピにチャレンジしてみてください。
僕は、高校生の頃に耳コピをし始めてから作曲に目覚め、現在は耳コピのスキルを活かしてアレンジや作曲指導の仕事をして生活しています。
耳コピに基づいた作曲や、アレンジの方法は、「無料動画レッスン」にて詳しく解説しています。こちらの動画レッスンでは、僕自身もそうですが、一切楽器を弾かず、楽譜が読めない状態でも問題なくあらゆる音楽製作ができる方法について解説しています。ぜひ、以下のリンクから受け取ってください。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。