DTMでボーカルの音源をミックスするのって、なかなか難しいですよね。
いろいろなことができる分、何をしていけばいいか迷ってしまうこともあると思います。
DAW(作曲ソフト)には非常に多くの機能がありますから、何を使っていけばいいのか分からない方も多いと思います。
僕もはじめは、ボーカルミックスのやり方がよく分かりませんでした。
しかし、現在は何曲もボーカルミックスをしたり、勉強をしたりする中でスキルを身に付けることができました。
そこで今回は、ボーカルミックスを適切に行うための考え方や手順について説明します。
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もくじ
ボーカルミックスをする上で大切な考え方
ボーカルミックスをする上で大切な考え方は、「どんなイメージの声にしたいか」ということです。
これが定まっていないと、最終的な目的地が定まらず、収拾がつかなくってしまいます。
例えば、「大ホールで歌っている」「ライブハウスで歌っている」「海の中で歌っているような感じ」など…
作り上げたい声のイメージを最初にハッキリさせておくことで、効率的に作業を進めていくことができます。
こうすることで、頭の中に完成形のイメージがあるため、余計な時間を使わなくて済みます。
これは、美容院に行ったときの状況に似ています。
始めに、どんな髪型にしたいか、美容師さんに写真や絵で示すことができれば、そのイメージに向かって髪を切ってもらえます。
逆に、どんな風に切って欲しいか伝えずに、
「あと前髪を3cm…」「もっと軽い感じで…」
などゴールが見えないまま、美容師の人にお願いしても、なかなかいい感じに仕上がりません。
ボーカルのミックスも同じように、最終的なイメージが確定していないと、ちょくちょく加工しながら
「あーでもない、こーでもない」
と時間だけが過ぎていってしまいます。
これは特に、自分以外の人が歌った歌をミックスするときは、そうなりやすいです。
きちんと相手から、どんなイメージに持っていってほしいのか聞いておくといいです。
例えば、簡単なイラストを描いてもらうと、とてもイメージがしやすくなります。
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ボーカルミックスは、おめかし
もう1つ、ボーカルミックスをする上で、いい考え方があります。
それは、ボーカルミックスが、お化粧などの「おめかし」に例えられることです。
おめかしとは、自分が行く場所にあったお化粧をしたり、服装や身なりを整えたりすることです。
どんなに美人の女優であっても、テレビに出るときは必ずお化粧し、ドレスアップをします。
これは、たとえ素の顔が絶世の美女であっても、その場の雰囲気に合った顔や衣装になっている必要があるからです。
人前に出るということは、自宅のすっぴんと普段着で過ごす様な日常ではない、「非日常」に出るということです。
パーティなどもそうですが、そのような場にあったおめかしは必要です。
ボーカルミックスも同じように、元の声がどんなに美声であっても、曲の雰囲気にちゃんとマッチさせる必要があります。
そうしないと、声が浮いて聞こえてしまい、曲として変な仕上がりになってしまいます。
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ボーカルミックスの手順
さて、ここまでの考え方を踏まえて、ボーカルミックスの手順について説明します。
1.最終的な完成イメージをハッキリさせる
最初に説明した考え方の通り、ミックスした後の曲の雰囲気も合わせて、どんな声にしていくのかイメージをハッキリさせます。
実際に、想定する場所でボーカルが歌っている姿まで想像できると、かなり作業がはかどります。
2.ノイズ処理をする
ボーカルミックスでは、エフェクターと呼ばれるDTMの機能で理想の声に仕上げていきます。
しかし、その前に不要な音である、声以外のノイズをカットします。
お化粧をする前も、顔にゴミや汚れがついていたらマズイですからね。
ノイズ処理をしないで処理を進めていくと、ノイズの音が大きくなったり、歌声の邪魔になったりすることがあります。
具体的には、ノイズカット専用の機能を使ったり、イコライザーというエフェクターでノイズ処理をします。
イコライザーは、周波数に対して音量調整ができるものです。
ノイズ処理には、いくつか方法がありますが、ここではイコライザーを使った方法について説明します。
周波数は、1秒間に何回音波が空気を振動させるかを表したものです。
これは、高いほどより音程として高く聴こえるようになります。
そのため周波数は、音の高さと言えます。
イコライザーを使えば、人の声ではないノイズの周波数だけ指定して、音量を下げることができます。
これによって、ノイズをカットすることができます。
もちろん、ノイズが最初から入っていない場合はこの作業は不要です。
イコライザーについて詳しくは、下記の記事をご覧ください。
3.コンプレッサーで音量を均一にする
ノイズ処理が終わったら、コンプレッサーというエフェクターで、音量を均一に整えます。
歌って、どうしても一番盛り上がるサビの所で気合いが入って、声が大きくなりがちです。
逆に、歌い始めの落ち着いたパートでは、声が小さくなりやすいです。
このように、1曲を通して声の大きさが一定になっていないと、音楽として聞きにくいです。
歌い始めがちょっと聞き取りにくい音量だったり、サビでいきなり大声になったりしたら驚きますよね?
コンプレッサーを使うと、このような音量のばらつきを、均一にすることができます。
おめかしで例えるなら、髪の毛をきれいにカットする感じですね。
ただし、あまりコンプレッサーで均一にしすぎると、抑揚が無くなってしまいます。
そのため、元々ボーカルが表現しようとしていた部分まで無くしてしまわないよう、十分注意して作業する必要があります。
コンプレッサーについては詳しくは、下記の記事をご覧下さい。
4.イコライザーで声質を調整する
コンプレッサーの処理が終わったら、今度はイコライザーを使って声質を調整します。
これは、言うなれば顔を整える「お化粧」の部分と言えます。
イコライザーを使うと、聞き取りにくいもっさりとした声でも、艶のある声に変えることができます。
これは、人間の声には高い周波数の音が含まれていて、その音を増幅させるときらびやかな音になるためです。
逆に、声が軽くて芯のない感じだったら、低めの周波数を大きくして太い声にすることもできます。
これは、お化粧で細い眉毛にしたり、太い眉毛にしたりして、顔の印象を変えていくのにも似ています。
5.空間系エフェクターで、声を場に馴染ませる
イコライザーで声質を整えたら、今度は「空間系エフェクター」と呼ばれるもので、音が鳴っている場所に声を馴染ませます。
空間系エフェクターは、音がどのような場所で鳴っているかを再現するものです。
場所と言っても、基本的にDTMでは、仮想の空間が再現されます。
そのような空間に、声がマッチするよう、空間系エフェクターをかけていきます。
先程の声質調整がお化粧なら、こちらはその場にあった「ドレスアップ」をすることに似ています。
どんなに綺麗に化粧をしたとしても、衣装がその場にあったものでなければ台無しになるからです。
空間系エフェクターは、奥行きを作り出す「ディレイ」や、空間の響きを再現する「リバーブ」があります。
これらを使って、その場にあった声の響きを作っていきます。
空間系エフェクターについて詳しくは、下記の記事をご覧下さい。
「あなたの曲を本格的にするリバーブを用いたDTMの上達方法」
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まとめ
ここまで説明してきたように、ボーカルのミックスをする上での考え方や手順を知っていれば、効率的に作業を進めることができます。
是非、今回説明した内容を意識して、取り組んでみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。