「絶対音感」というものを聞いたことはありますか?
絶対音感は、自分が聴いた音の音階を正確に捉える能力です。
音階は、「ドレミ」の「ド」とか、「レ」のことです。
例えば、音楽をやっている人で、聴いた音の音階が何かすぐに分かる人に会ったことはありませんか?
僕は、高校生のときの友人がそうでした。
今の音は、「ファ…いや、ファのシャープかな」みたいな感じです。
そういう人は、絶対音感を持っている人です。
こんな力を持っていると、いかにも音楽の才能があるって感じでカッコいいですよね。
そのような人がいると、作曲をするには、絶対音感は合った方がいいのかと思うこともあると思います。
僕も以前、「作曲するには、絶対音感が必要なのか?」と考えることがありました。
しかし、これまで作曲をする中で、それは必要ないということが分かりました。
そこで今回は、作曲をする上で、なぜ絶対音感を持っていなくてもいいのか説明します。
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絶対音感とは?
作曲でなぜ絶対音感が必要ないのかを知るためには、それがどういうものなのかしっかり理解しておく必要があります。
絶対音感に、「絶対」という言葉が付いているのは、他に対するものを必要としないという意味です。
つまり、他に比較するものを必要としないということです。
絶対音感を持っている人は、例えば「ド」の音を聴いたとき、他に比較する音が無くても、それが「ド」の音だとダイレクトに感じ取ることができます。
「レ」の音を聴いたら「レ」、「ミ」の音を聴いたら「ミ」という具合に、単体の音だけで音階を判断することができます。
実は、これはけっこう特殊な能力です。
なぜなら、多くの人は、ある音の音階を判断するために、基準となる他の音と比較する必要があるからです。
例えば、「ド」の音を聴いたとき、もう1つ比較するための音が鳴っていないと判断ができません。
「ド」の音を聴いたとき、もう1つ基準となる「ド」の音を聴いて2つを比較し、「同じ位の高さの音だ」と感じて、最初に聴いた音を「ド」と判断します。
他の音階の音が鳴ったときも、同じ調子です。
例えば、「ファ」の音を聴いたときは、基準となる「ド」と比較して、音階を上げていきます。
「ド、レ、ミ、ファ…。あっ、ドから上がって、ファで同じ位になった。だから「ファ」だ。」
という具合に判断するのです。
このように、多くの人は基準となる音に対して、どの程度音の高さが違ってくるのかを感じ取って音階を判断します。
このような、2つの音の音階の違いを感じ取る力を「相対音感(そうたいおんかん)」と言います。
音楽経験者は、聴いた音の音階を判断するための、基準となる音を頭に記憶していることがあります。
先ほどの例では、基準となる「ド」の音がどれ位の高さの音か、覚えておくのです。
そして、自分が聴いた音の音階を、記憶の中の基準の「ド」と比較して判断します。
しかし、絶対音感がある人は、基準となる音を必要とせず、聴いた音の音階をそのまま感じ取って答えることができます。
そのため、他の音と比較する時間がかかりません。
また、記憶の中の音という、曖昧なものに頼って音階を判断しないため、正確に音の高さを捉えることができます。
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作曲するのに絶対音感が必要ない理由
しかし、絶対音感は作曲、つまりメロディを作ることと直接関係がありません。
なぜなら、メロディ作りでは、聴こえてくる音の絶対的な音程がどうであるかは、重要ではないからです。
メロディを作るということは、最初に発せられた音から、どのように音程が移り変わっていくかを決めるということです。
私たちは、この音程の変化の仕方を、メロディとして捉えます。
どう変化するかが重要なので、最初の音がどの位の高さの音か、何の音階で始まっているのかは重要ではありません。
例えば、「ドレミファソラシド」というメロディを考えてみましょう。
このメロディの、すべての音を、1音階上げたとします。
そうすると、最初の音は「レ」から始まります。
しかし、それでも全体のメロディはやはり「ドレミファソラシド」のメロディとして聴こえます。
このように、最初の音の高さがどうであれ、その後に続く音程の変化の仕方が同じなら同様のメロディとして聴こえるのです。
そして、このメロディの変化は、前の音に対してどの程度音程が変化するかという相対的なものです。
この、相対的な変化を作ったり、聴いて楽しんだりするには相対音感があれば十分です。
相対音感があれば、次々に聴こえてくる音が、前の音とどれ位音程が変わっているか感じ取ることができるからです。
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作曲には、相対音感を鍛えればいい
そのため、作曲が出来るようになるためには、相対音感を鍛えていけばいいです。
ただ、相対音感というと、何か特別な能力のように聴こえてしまうかもしれません。
もちろん、作曲ができるようになるには、洗練された相対音感が必要です。
しかし、実は基本的な相対音感は多くの人が既に持っています。
それは、普段私たちが行っている言葉によるコミュニケーションを考えるとよく分かります。
普段、私たちは自分の気持ちをより正確に相手に伝えるために、感情を込めて言葉を発します。
例えば、心から嬉しい気持ちになったとき、「やったー!!」と叫ぶことでしょう。
このとき、「やっ」よりも「たー!!」の方が声が高くなっているはずです。
これは、自分が生まれてから、喜びの気持ちを表すときは、そのように声の高さを変えて話すということを周囲の人から聴いて学習したからです。
つまり、この時点で「相対音感」が身についているのです。
私たちは言葉を話すとき、どう声を高くしたり、低くしたりすれば上手に自分の気持ちを表現できるか、常に考え成長していきます。
作曲をするには、この音程変化の仕方を、より繊細に行えるようにすればいいのです。
通常、自分が会話するときに感じたり、表現したりするときの音程変化は割と大ざっぱなものです。
そのため、正確な音程の変化を感じ取ったり、表現したりする必要はありません。
しかし、メロディの変化というのは、「ド・レ・ミ・ファ・ソ…」と、ピンポイントの高さの音程を使っていきます。
このピンポイントの音程を正確に感じ取り、自分でも表現できるようにするには、より敏感な相対音感が必要となります。
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相対音感を鍛えるには?
作曲をするための相対音感を鍛えるには、「耳コピ」をやるのが一番です。
耳コピとは、音楽を耳で聴いて、作曲ソフトなどを使って元の曲を再現する「耳コピー」の略です。
耳コピをすると、自分が聴いた曲のメロディの変化がどのようになっているのか、正確に感じ取ることができます。
というか、それができないと自分で再現できないので、否応なしに相対音感が磨かれていきます。
これは、料理を作るときのことを考えると分かりやすいです。
料理がうまい人は、おいしい料理を食べると、それをよく味わいます。
それによって、どんな具材を使っているか、調理法や調味料は何かなど、正確に感じ取ります。
そして、その料理がどのように作られているのか理解し、自分で同じ料理を再現します。
これと同じように、作曲において相対音感を鍛えるということは、自分が聴いた音楽がどのように作られているかを正確に感じ取れるようにするということです。
自分が聴いた音楽のメロディの成り立ちが分かれば、おのずと自分でも作ることができるようになるというわけです。
耳コピに関しては、下記の記事でも詳しく記載しています。
こちらも是非ご覧になってみてください。
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まとめ
ここまで説明してきたように、絶対音感はなくても作曲を行うことができます。
絶対音感ではなく、相対音感を鍛えていけば、作曲をする力が身についていきます。
そのためには、耳コピをするのが一番の近道です。
是非、試してください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。